top of page
検索

日本の美。阿波踊りに見る、直線と曲線の融合

8月29日
読了時間: 3分

更新日:8月31日

8月。

徳島市で開催される約400年の歴史を持つといわれる阿波踊り。

前夜祭を含め5日間、街全体が踊りの熱気に包まれる夏の一大行事。


以前から一度は訪れてみたいと思っていました。

阿波踊りを見るために何より大変なのが宿の確保。

毎年なかなか予約が取れず、これまで行く機会を逃していましたが、今回ようやく念願が叶いました。


映像では分からなかった、それぞれの「美」

InstagramやYouTubeなどで見る阿波踊り。

しかし、実際に目の前で見ると印象は、それとは全く違いました。


阿波踊りでは、踊り手のグループを「連(れん)」と呼びます。

非常に興味深いのは、その連ごとに踊りが全く違うこと。

踊りのテンポ、手足の動き、表情、隊列。

同じ阿波踊りでありながら、それぞれに個性があり、次々と見ていても飽きることがありません。


そして、ファッションに携わる私が自然と目を奪われたのは、やはり「衣装」でした。

連によって浴衣や法被の色、柄、組み合わせもさまざま。

衣装そのものが、それぞれの連の個性を表現しているように感じます。

中でも、ひときわ華やかな存在が「女踊り」です。

女踊りに見る、日本独特の造形美

深くかぶった編み笠。

色とりどりの浴衣。

手を高く上げ、指先までの美しい所作。

袖口からのぞく腕には手甲(てご)があり、裾をからげた浴衣の下からは裾よけが見えます。

通常の和装では内側に隠れる裾よけを、阿波踊りではあえて見せる。


それもまた、踊りの衣装ならではの美しさなのでしょう。

そして、しばらく女踊りを眺めているうちに、あることに気づきました。


直線と曲線の絶妙で美しい融合です。


浴衣そのものには、日本の衣服らしい端正な「直線」があります。

そこに、編み笠が描く優美な「曲線」が重なる。

さらに踊りが始まると、高く伸ばした腕や指先、しなやかな身体の動きによって、静止していた衣装の直線に新たな曲線が生まれていきます。

直線だけでもない。

曲線だけでもない。

異なる線が互いを引き立て合うことで、凛とした美しさと女性らしい柔らかさが同時に生まれる。

そこに私は、日本独特の美意識を感じました。


美しい装いは、人が身につけて完成する

これは、スーツやジャケットにも通じるものがあります。

美しい服とは、服だけを眺めて完成するものではありません。


肩から胸へ流れるライン。

ウエストから裾へ続くライン。

袖から手元へつながるライン。

そこに人の身体が入り、歩き、腕を動かし、佇むことで、初めて服に生命が宿ります。


阿波踊りの女踊りも同じでした。

浴衣、編み笠、手甲、裾よけ。

一つひとつを見るだけでは分からない美しさが、踊り手の身体と所作によって一つになった瞬間、圧倒的な美しさとなって目の前に現れる。


ファッションを考えるうえで、大切なのは「何を着るか」だけではありません。

その服を、その人がどう纏うか。

そして、直線と曲線、静と動、衣服と人。

異なるものが美しく調和したとき、その人にしか表現できないエレガンスが生まれるのだと思います。


400年もの間、受け継がれてきた阿波踊り。

その華やかな女踊りを眺めながら、改めて日本の装いが持つ美しさに心を奪われました。

美しさとは、飾ることではなく、あらゆることが調和すること。

BELLFORAが一着を仕立てるときにも、大切にしていきたい美意識です。


皆さまも、ぜひ一度、阿波踊りに行かれてはいかがでしょうか。


 
 
bottom of page